薬剤師×保育士のブログ 

薬剤師と保育士の両面を活かした内容の記事を書きたいと思ってます。主に子どもの薬について書いていこうと思います。

胃薬が、目薬として応用された話

薬剤師にとって付き合いの長い「薬」。

 

薬剤師も思いもかけなかったような「薬の使われ方」があります。

 

例えば、坐薬(肛門に挿入する薬)を「飲んでしまった」。

 

これは患者さんの勘違いによって服薬方法を間違った例ですが、もちろん薬剤師は、患者さんがきちんと理解できるよう説明することが求められます。

 

 

ただ、今回は、「胃薬」を「目薬」として使うという

一見すると存在自体が誤りのような薬剤が実際に登場した例を紹介します。

 

 

その名は「ムコスタ点眼液」。

下の写真の写真をご覧ください。

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白い液体。これがムコスタ点眼液です。

 

それでは、解説していきましょう。 

 

 

 

胃の不快な症状は皆さんも経験がありますか?

 

 

 

食べ過ぎた。

 

ストロングを飲み過ぎた。

 

ゲームで夜更かしした。

 

仕事で嫌なことがあって、ストレスがたまった。。

 

なんとなく原因がわからなくもない。。

 

 

では、そんなとき私達の胃の中はどうなってるのでしょう?

 

 

 

胃酸とは


もともと胃には「胃酸」という強力な酸があります。

 

 

理科や化学の教科書などにも登場した「塩酸」は皆さんもご存知かと思いますが、

胃酸は塩酸ペプシンという酵素で出来ています。

 

 

胃酸=塩酸(強酸)+ペプシン(酵素)

 

 

「胃の中に塩酸があるわけない!」と思う方もいるかもしれません。

 

でも実際に私たちは食べ物を溶かすために、

強力な酸と、分解酵素を胃の中に常にストックしてます。

 

ちなみにペプシンはたんぱく分解酵素と言われ、

例えばスーパーで買ったお肉にかけると溶けます。

 

 そこで疑問が生じます。

 

そんな強い酸なら胃も溶けるのでわ!??

 

 

溶けません

 

 

 

なぜこんな強力な酸が存在するにも関わらず、

 

私たちの胃は溶けないのでしょうか???

 

防御因子の存在

 

その答えは、胃を守る体のはたらきにあります。

 

胃には防御因子という粘液(バリア)が存在し、胃を守っているのです。

 

対して胃酸は攻撃因子と呼ばれています。

 

 

📝攻撃因子>防御因子のとき、胃がダメージを受ける

 

攻撃因子である胃酸はストレスた、カフェイン等により増えて、胃の壁をどんどん攻撃してきます。夜更かしやストレスによって防御因子が減ることもあります。防御因子が防御しきれない状態になると、胃がダメージを受けてしまいます。

 

📝胃がもたれるときは、カフェインの摂取や、刺激物を控えるとよいでしょう。

 

矛盾のイラスト

 

こうして防御因子が破れて胃が攻撃を受けると、

 

「胃の調子が悪いなぁ。。」

「なんだか胃がちくちくするなぁ。。」といった症状がでてきます。

 

これが胃の不快感です。

 

酷いときは胃に穴があくこともありますが、これを胃潰瘍といいます。

他にも慢性胃炎や逆流性食道炎などの病気があります。

 

 防御因子の薬

 

 

そこで登場するのが、

 

防御因子を強化する薬」となります。

 

(ドラクエが好きな方にはスカラ、

FFが好きな方だとプロテスというとわかりやすいかと思います。)

 

勇者のイラスト

 

防御因子にはさまざまな種類がありますが、その中の一つに

「レバミピド」というお薬があります。

 

レバミピドの商品名は「ムコスタ」*1

 

ムコスタは胃薬として長年使われてきました。

「胃の粘膜を保護する薬です」と服薬指導するのが今ままでのムコスタだったのです。

 

 

しかし

 

薬剤師もビックリの薬が作られました。

 

そう、それが、ムコスタ「点眼液」です。

 

ムコスタは、角膜と結膜で眼の防御因子であるムチン量を増やします。

つまり、胃で胃粘液を増やすのと同じように、眼で、眼の防御因子を増やすことで、

ドライアイの原因となる、涙液の不安定化を防ぐことができたのですね。

 

 

「これは面白い」と一時期薬剤師の間でも話題になりましたね。

 

 

ムコスタって砕いてのんだりするとめちゃくちゃ苦いお薬(*よいこはまねしないでね!!)なんでが、この目薬を使うと目にいれたのに、苦みを感じます。

  

 

最後に

 

今回の件で、薬は形状や構造を変えれば別の病気の治療にも活かせる可能性があることが分かりますね。薬の作用機序を理解することで、別の用途にいかすこともできます。

 

最近では、認知症の薬や、気管支喘息の薬、アレルギーの薬や心臓の薬が「貼り薬」に剤形が変わっています。高齢者だと、飲むよりも貼るほうが楽だったりするのです♬

 

様々な工夫によって、患者さんにより安全に、より服薬していくための医薬品の世界、すこし感じていただたでしょうか?

 

それでは今回はこの辺で今回は失礼します!

最後までごらんいただきまして、ありがとうございました!!

 

 

 

*1:薬には一般名=成分の名前(ここではレバミピド)と、商品名=販売するときの名前 (ここではムコスタ)が存在する。ジェネリック医薬品は成分の名前の方がわかりやすいよね~ってことで最近は商品名を成分名+会社名にすることが一般的